新着書評

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  • 2019/04/17 図書
    トランス・サイエンスの時代 : 科学技術と社会をつなぐ / 小林傳司著
      

    「科学を超えた」問題をどう考えるか

    推薦者:奥山貴之先生(日本文化学科)文系の学生にとって、科学技術について考えることは縁遠いことでしょうか。それでは社会的な意思決定において問題が出てくるというのが著者の考えです。ある現象について、そのメカニズムを科学的に説明することは「科学」はできます。しかし、科学に関することで一定のリスクを伴う判断をしなければいけない時、どうすればいいのかは「科学」は答えられません。例えば、筆者は「狂牛病」「遺伝子組み換え食品」「原子力発電所」などの問題を取り上げ、社会的な意思決定の中で「科学」が答えを出せないことを示します。「科学」はリスクの程度は言えますが、そのリスクを抱えるかどうかは社会の成員全員で考えなければならない問題だからです。こうした問題を「トランスサイエンス」、つまり「科学を超えた」問題として筆者は提示します。科学と社会がどう繋がっていくのかを考える本書は、理系文系を問わず読んで欲しいものです。

  • 2019/04/17 図書
    プロフィシェンシーから見た日本語教育文法 / 山内博之著
      

    その言語を用いて何ができるか

    推薦者:奥山貴之先生(日本文化学科)プロフィシェンシーという言葉は、耳慣れないものかもしれません。これは、運用能力、実践力という意味の言葉です。言語教育において(単語や文法を覚えているかどうかではなく)その言語を用いて何ができるかを問う考え方です。本書は、言語活動と文法の関係を整理し、示しています。そして、実際にどのような日本語教育の授業を行うのかという示唆も与えてくれます。この観点を軸に、自分が受けてきた外国語教育を振り返ってみたり、日本語教育を含む外国語学習用のテキストを分析してみたりしてはどうでしょうか。

  • 2019/04/17 図書
    「ことば」という幻影 : 近代日本の言語イデオロギー / イ・ヨンスク著
      

    日本の「国語政策」はどこに向かっていくか

    推薦者:奥山貴之先生(日本文化学科)近代の日本がどのような思想で「国語政策」を行ってきたか、そして、今後どのような方向に向かっていくべきかを論じたものです。「国語」と「日本語」の関係、「標準語」と「方言」の関係、そしてそこに絡む言語政策について考えていくことができます。グローバリゼーションが進む中で、様々な言語が平等であるためにはどうすればいいか、難題ですが、言語にまつわる様々な背景を知り考えていって欲しいと思います。イ・ヨンスク『「国語」という思想」(岩波書店、1996年)も合わせて読んでみてください。

  • 2019/03/13 図書
    台湾生まれ日本語育ち / 温又柔著
      

    多文化間コミュニケーションや日本語教育に関心がある人には特に読んでほしい

    推薦者:奥山貴之先生(日本文化学科)台湾で生まれ、3歳から日本で育った筆者が、どのように言語や社会と向き合ってきたかを書いたエッセイです。日本で生まれ、日本で育ち、国籍が日本で、母語が日本語で、両親が日本人で・・・、というわけではない人はたくさん日本で暮らし、日本語を使っています。あまり意識をしたことがないと、これは特別なことに感じられるかもしれません。しかし、国境を越えた人の移動が特別ではない以上、これは特別なことではありません。では、「特別なことではない」からよく知られているかというと、そういうわけではなさそうです。こうした人々が、何に困難を感じたり、苦しんだりしているか、そして、何に幸せを感じたり、楽しんだりしているか、あまり知られていないのではないでしょうか。多文化間コミュニケーションや日本語教育に関心がある人には、この本を読んでその一端を知って欲しいと思います。筆者の小説もお勧めです。

  • 2019/03/13 図書
    ひかりごけ / 武田泰淳著
      

    これは罪か

    推薦者:村上陽子(日本文化学科) 『ひかりごけ』は実際の事件を踏まえて描かれたフィクションです。冬の北海で船が難破してしまい、流氷に閉ざされた洞窟に行き着いた船長と3 人の船員。暖房も食糧もない状態で船員は次々に倒れていきます。しかし船長は、先に死んだ仲間の肉を食べることでこの地獄を生き延びるのです。 私たちは普段、人間を食物として捉えてはいません。そのため、この小説はとても衝撃的です。しかし、人をただ殺すことと、食べるために人を殺すことはどちらが重い罪なのか? 死んだ人を食べることはどんな罪になるのか? そもそも、なぜ人が人を食べてはいけないのか? 物語後半の、船長が裁判にかけられる場面ではこれらの問いが追求されていきます。 「食べる」ということについて私たちが持っている「常識」が覆される……そんな読書をぜひ体験してみてください。

  • 2019/03/13 図書
    男がつらいよ : 絶望の時代の希望の男性学 / 田中俊之著
      

    自分らしく生きていくために

    推薦者:奥山貴之先生(日本文化学科)本書は、ジェンダーについて「男性」に焦点をあてた「男性学」の入門書となっています。「女性学」も「男性学」も、ジェンダーの問題に取り組んでいるということは同じで、「女/男らしさ」や「女/男のくせに」という縛りからの開放を目指している点では同じです。筆者は、社会の変化の中で、ジェンダーの枠の中に立ち続けることが難しくなっていることを指摘しつつ、男性の抱える「生きづらさ」について論じていきます。男性も女性もあらゆる人がお互いに助け合いながら、「生きづらさ」から解放されて自分らしく生きていくためにはどうすればいいのか、考えていく端緒にしてもらえればと思います。

  • 2019/01/09 図書
    君たちはどう生きるか / 吉野源三郎著
      

    どう生きようか?

     本書は、漫画でも人気になった名著です。コペルくんの迷いや思いを一緒に体験して、はて、今自分はどう生きているのかな?良く生きるって?と思いを巡らす旅にいざなってくれます。

  • 2019/01/09 図書
    考えの整頓 / 佐藤雅彦著
      

    見方をかえてみることの大切さ

    本書をつうじて、当たり前と思い、感じていることが実は見方をかえるとこんなに面白いものなのか!と驚きました。自分の日常をもう少し落ち着いて別の角度で、遠目から、とらえてみたいと思わせてくれます。

  • 2019/01/09 図書
    ことばと文化 / 鈴木孝夫著
      

    ことばは文化、思考を担っている。

     地域によってことばは異なる、発音が違う等々、地域発見紹介は様々な場で見られます。そのことばは、その土地、地域に住む人々の生活、思考、土着の文化によっていることを平易な文で説明してくれているのが本書です。人々の暮らしにことばが無くてはならないこと、そしてそれは世界中どこでもそうなのだと実感すると、きっとことばをもちいる人間が興味深くいとおしくも感じられました。

  • 2019/01/09 図書
    正しい本の読み方 / 橋爪大三郎著
      

    本を手にするきっかけに!

     読書をすすめられても、どのようにして、どの本をよむのか?流れの激しいこの時代にのって過ごしている現代で、貴重な時間を使って果たして本をよむことが役にたつのだろうか?と思うものです。本書は著者の独特な言葉につられながら何を読むか?を選択する機会をあたえてくれます。

  • 2019/01/09 図書
    星の王子さま / サン=テグジュペリ作 ; 内藤濯訳
      

    みえないものこそ…

     いつ、どのような時、だれがよんでも心に残るお話しです。結果や成果がどうであれ、「みえないもの」への畏敬を大切にしたいものです。

  • 2019/01/07 図書
    おんなのことば / 茨木のり子詩
      

    繊細で力強く、きびしくてやさしく、明るくて影をもつ

    推薦者:下地賀代子先生(日本文化学科)童話屋の担当者が「茨木さんのお許しをいただいて」編んだという「詞華集(アンソロジー)」です。国語の教科書にも掲載された「わたしが一番きれいだったとき」をはじめ、筆者の代表的な詩集六冊より三五編がおさめられています。手の広サイズの、装丁のとてもきれいな本です。繊細で力強く、きびしくてやさしく、明るくて影をもつ。いろいろな言葉を並べて語ってみても上手に言い表せている気がしなくて、そんな自分に腹が立つほど一つ一つの詩が心に響きます。 だから代わりに好きな詩の一節を。 まきこまれ ふりまわされ くたびれはてて ある日 卒然と悟らされる もしかしたら たぶんそう 沢山のやさしい手が添えられたのだ 一人で処理してきたと思っている わたくしの幾つかの結節点にも 今日までそれと気づかせぬほどの さりげなさで             (「知名」より)

  • 2019/01/07 図書
    辞書を編む / 飯間浩明著
      

    タイトルベースはもちろん、「舟を編む」。辞典への溢れる愛情。

    推薦者:下地賀代子先生(日本文化学科)本書は、『三省堂国語辞典』の編纂に携わる著者が、「私自身の仕事について思う存分語りたい」という欲求から生まれたものです。国語辞典の編纂という仕事は「地味で、目立たず、さほど関心を引かない」けれど「スリルと発見に満ち、ものを生み出す喜び」がある。それを多くの人に分かってもらいたいという野心(?)に溢れています。用例採集のためには、新聞や雑誌、書籍、パンフレットはもとよりツイッターやメールなどのWEB情報、果てはテレビやラジオ、CD、動画サイトなどの音声情報にまで目を配らなければなりません。そうして集めたことばたちを取捨選択しなければなりません。そして、辞書に載せることばたちに語釈をつけて、すでに載っていることばの「手入れ」もして、できあがった原稿を何回も何回も校正して・・・。何とも気の遠くなる作業の連続ですが、筆者の語り口は軽く、具体例も面白く、辞典への「愛」に溢れています。本書タイトルの基となっているのはもちろん三浦しをんの『舟を編む』。帯文まで書いて貰っています。

  • 2019/01/07 図書
    Zoom / Istvan Banyai
      

    自分が見えている世界だけが全てではない

    推薦者:山口真也先生(日本文化学科)これは絵本です。しかも文字は一切なくて、絵だけの絵本です。大学生になぜ絵本をすすめるの?、と思うかもしれまんが、そういう人ほどぜひこの本を手に取ってみてください。大学での学び、そして図書館での読書はみなさんの視野を広げる大切な場面です。この絵本のページを開くと、そこには言葉にできない奇妙な世界が広がります。自分が見えている世界だけが全てではありません。この絵本を読み終える頃には、きっと視野を広げることの大切さ、大学で学ぶことの意味、そして読書の大切さに気づくでしょう。

  • 2019/01/07 図書
    隠される原子力核の真実 : 原子力の専門家が原発に反対するわけ / 小出裕章著
      

    原子力研究の世界に住みながら、原子力に反対するその理由

    推薦者:黒澤亜里子先生(日本文化学科)2011年3月11日の東日本大震災と福島第一原発の事故。それ以後、日本は大きく変わってしまった。原子力発電とはなにか。我々は今後どうするべきか。今改めて考えるための一冊。以下は著者自身のことばで紹介に代える。夢に燃えて東北大学工学部原子核工学科に入学した私は、原子力を学び始めてすぐに、その選択が間違っていたことを知りました。なぜ電気を使う都会に原子力発電所を建てないのか。・・・・その答えはとても単純なものでした。原子力発電所は都会では引き受けられない危険を抱えたものだからでした。1970年10月に女川町で開かれた原発反対集会に参加し、それ以降、私は、反原発の道を歩き始めました。私は1974年から「京都大学原子炉実験所」で放射能測定を専門として研究していますが、原子力研究の世界に住みながら、なぜ原子力に反対し続けるのか、そのことをこの本に記します(「まえがき」より)。【コメント】錯綜する情報の中で、改めてメディアやインターネットを正しく読み解く力が必要になっている。生きるための真の知識とは何か、改めて考えさせられる一冊。

  • 2019/01/07 図書
    万葉秀歌 / 斎藤茂吉著
      

    歌に親しみ、心豊かに

    推薦者:田場裕規先生(日本文化学科)万葉集の入門書として、一番手軽で、一番読まれているものだ。2001年に91刷という状況だ。最近はこの書をきっかけとする斎藤茂吉の古典観・文化観が、日本文化を作ったというような発言する研究者も出てきた。思想や文化はひとまず措くとして、歌に親しんで、心を豊かにしてほしい。詩情豊かな人生は、それだけで人間らしい。

  • 2019/01/04 図書
    文学テクスト入門 / 前田愛著
      

    文学研究に多大なる功績を残す名著

    推薦者:田場裕規先生(日本文化学科)第三章「言葉と身体」、第四章「コードとコンテクスト」を読み返すと、今の文学研究に与えた著者の功績は大きいと思う。イーザーの読者論の立場から、どんどん新たな方法を示していった著者は、鬼籍に入ってかなり時間がたつが、今読み返しても気づかされることが多い。『都市空間のなかの文学』も読んでほしい。

  • 2019/01/04 図書
    ぼくのミステリな日常 / 若竹七海著
      

    驚愕のミステリー、騙されたと思ってぜひ。

    推薦者:山口真也先生(日本文化学科)「アメトーーク」でカズレーザーさんが絶賛していた、ミステリー作家・若竹七海さんのデビュー作。密室ものや暗号ものの謎解きだけでなく、怪談、ファンタジー、世間話、ほのぼのした話など、一見するとなんだかまとまりのない短編集ですが、最終章であれよあれよというまに驚愕のミステリーに仕上がります。1996年に発売された短編集ですが、ミステリーの傑作としていまも語り継がれています。騙されたと思ってぜひ読んでみてください。

  • 2019/01/04 図書
    私とは何か : 「個人」から「分人」へ / 平野啓一郎著
      

    「分人」という新しい人間観

    推薦者:桃原千英子先生(日本文化学科)関係の中で変容する自己を、「分人」と称したのが平野である。「個人」という単位では対応不可能な現代に、「分人」というミクロな単位を人間の基本単位として導入した、画期的で斬新な一作である。「分人」という新しい人間観を、社会問題や文学作品、「個人」という概念の歴史などから検証し、導き出した。

  • 2019/01/04 図書
    沖縄文学選 : 日本文学のエッジからの問い / 岡本恵徳, 高橋敏夫編
      

    戯曲「人類館」

    推薦者:黒澤亜里子先生(日本文化学科)「人類館事件」は本当にあった歴史的な事件。1903年大阪で開催された第5回内国勧業博覧会で、パビリオンの一つとして「学術人類館」が設置され、「アイヌ・台湾・琉球・朝鮮・ジャワ・インド」などの人々を生身で「展示」、「異人種」として紹介したいわゆる「人類館事件」である。1976年、知念正真がこの「人類館事件」を題材に、戯曲「人類館」を書き上げ、翌年劇団「創造」によって上演されると大きな反響をよんだ。大和の兵隊らしい「調教師ふうの男」(実は沖縄出身者)をはじめとして、「陳列された男」「陳列された女」など、魅力的な登場人物がウチナー口を駆使して躍動する舞台は秀逸。1978年岸田國士戯曲賞受賞。 【コメント】最高に面白いすぐれた戯曲、舞台だと思います。私の場合、だいぶ前に北島角子のものも見ただけですが、見比べることができると楽しいですね。津嘉山正種の朗読はまだですが、2009年にCDになったようです。

  • 2019/01/04 図書
    おもろさうし / 外間守善校注
      

    「沖縄の万葉集」とも呼ばれる、沖縄最大の古典

    推薦者:狩俣恵一先生、西岡敏先生(日本文化学科)【狩俣恵一先生】沖縄には古代社会の記録史料がほとんど存在しません。『おもろさうし』は歌謡集ですが、古代社会の様々な制度や人々のありかたが浮かび上がってきます。沖縄をもっと深く知りたいあなたに送ります。【西岡敏先生】琉球の神々への祈りを綴った祭祀歌謡集「おもろさうし」(16~17世紀)。そこには、古琉球の歴史、社会、民俗、宗教、言語などが、集約された形であらわされている。「沖縄の万葉集」と呼ばれることもあり、沖縄人の心の拠り所とも言うべき沖縄最大の古典である。田島利三郎、伊波普猷が明治期に研究をはじめてからおよそ100年、かつては難解で解読不能と言われたオモロ(神歌)の解釈にも、現在、かなりの進展が見られている。その一つの到達点と言えるのが本書で、オモロすべて(1554首)に解釈がなされ、現代語訳が施されている。校注者の外間守善は、沖縄学を継承する研究者で、沖縄固有の信仰、民俗を世界的な視野のもとで追究している。沖縄戦(前田高地/ハクソーリッジ)で九死に一生を得たのち、沖縄文化の研究とその啓蒙活動に並々ならぬ力を注ぎつづけた。

  • 2019/01/04 図書
    日本語の文法 / 高橋太郎[ほか]著
      

    まさに満を持して出版された優秀な1冊

    推薦者:下地賀代子先生(日本文化学科)先に紹介した『日本語文法・形態論』と同じく、学校文法とは異なる文法理論にもとづく教科書です。単行本としての出版は2005年ですが、そのもととなっている教材は1980年代に作られました。それから毎年改訂が加えられ、やがて私家版として大学の文法の授業でも使われるようになり、中国や韓国では翻訳も出版され、まさに満を持して、日本でも出版された本です。目次が細かく、索引もついているので、わからないことがあったときにさっと調べるための日本語の文法書としても優秀です。まず簡潔な説明があって、そのあとに細かい内容に進むという構成で、項目毎に問題もついています。(解答がついていないのが残念ですが。)言語の1つとして「日本語」を捉え、そのしくみを学ぼうとするのに最適な1冊です。

  • 2018/12/27 図書
    異形の王権 / 網野善彦著
      

    従来の歴史観をダイナミックに変えていった名著

    推薦者:田場裕規先生(日本文化学科)網野史学と呼ばれるほど、センセーショナルな出現だった。従来の歴史観をダイナミックに変えていった名著である。「異形」の人とは、異界の狭間に暮らす「人ならぬ存在」すなわち「聖なる存在」であった。特殊な技能によって社会と関わった彼らは、「異形」と呼ばれ、「人ならぬ者」の象徴と捉えられる。その「異形」を自らの権力基盤として利用したのが後醍醐天皇であった。文学・文化学の隣接諸学からの学びは大きい。

  • 2018/12/27 図書
    訓読みのはなし : 漢字文化圏の中の日本語 / 笹原宏之著
      

    「色々ある」と言うほかない訓読みの、たくさんの「不思議」

    推薦者:下地賀代子先生(日本文化学科)日本語にはひらがなとカタカナと漢字があって(厳密にはもっとあるけど、省略)、その漢字には訓読みと音読みがあります。中国語に由来し、一応のパターンをもつ音読みに対し、「色々ある」と言うほかない訓読み。そんな訓読みにはたくさんの「不思議」があります。そんな訓読みの不思議に、豊富な用例をもって答えてくれる本です。訓読みの歴史とその仕組みをはじめ、多彩な訓読みの個々の用例の考察、正書法の問題、新しい用例として最近の歌謡曲の歌詞や名前などにも触れています。また「東アジア世界の訓読み」として、中国、台湾、朝鮮・韓国、ベトナムにおける「訓読み」事情も紹介されていて、思わず「へーっ」とつぶやいてしまいます。とにかく面白い本です。

  • 2018/12/27 図書
    琉球の歴史と文化 : 『おもろさうし』の世界 / 波照間永吉編
      

    無限の深まりと広がりで、琉球文化に迫る

    推薦者:狩俣恵一先生、西岡敏先生(日本文化学科)【狩俣恵一先生】オモロには琉球文化を知るための手がかりがいっぱい。沖縄文化研究のバイブルとも言われる『おもろさうし』の成立背景、思想を読み解きながら、考古学・歴史学・民俗学・言語学など、さまざまな角度から琉球文化に迫る1冊です。【西岡敏先生】本書は、沖縄の古典である「おもろさうし」をそれぞれ分野の第一線の研究者が読み解き、一般の読者にも分かりやすく解説したものである。考古学からは安里進、歴史学からは高良倉吉と豊見山和行、民俗学からは赤嶺政信、言語学からは高橋俊三、そして琉球文学からは波照間永吉と、現在の沖縄を代表する研究者たちが並ぶ。オモロ(神歌の一つ一つ)を理解するための用語も「おもろさうしの誘い」で解説され、オモロ初心者にもお薦めの一冊になっている。一つのテキストである「おもろさうし」は、それぞれの研究分野のなかでも無限の深まりと広まりを湛えている。巻末には「オモロ鑑賞」が収められ、オモロを読み解いていくことの魅力を肌で感じることができるだろう。

  • 2018/12/27 図書
    超入門!現代文学理論講座 / 蓼沼正美著 : 亀井秀雄監修
      

    「作者の思い」という縛りから自由になること。

    推薦者:村上陽子先生(日本文化学科)みなさんは国語の授業などで、「作者の思い」を問われたことはないでしょうか。大学の教室でも、「作者の思いを明らかにしたい」という声は学生からしばしば耳にします。しかし、作者は作品を支配する神ではなく、読者も「作者の思い」に基づいた読み方の「正解」を探すためにテクストを読むわけではありません。「作者の思い」という縛りから自由になること。作者と作品を切り離して読んでみること。そのようにして初めて生まれてくる、新しい文学の読み方もあります。そういう読み方を可能にするために心強い武器となるのが「理論」です。本書は文学の世界を広げてくれる「理論」をわかりやすく学ぶために最適の入門書です。ぜひ手にとってみてください。関連授業:現代文学理論I・II

  • 2018/12/27 図書
    楢山節考 / 深沢七郎著
      

    辰平が最後に振り向いたとき、みたものは

    推薦者:黒澤亜里子先生(日本文化学科)「楢山節考」は、棄老伝説をもとに描かれた作品である。日本の各地には「人減らし」のため老人や子供、障害者などの弱者を山に捨てたり、見殺しにしたという悲しい風習が語り伝えられている。200年ほど前の八重山・宮古地方に伝わる「久部良バリ」もその一つだ。人々は過酷な人頭税から逃れるため、妊婦を崖に集めて幅3~5メートルの裂け目を飛び越えさせ、中には流産や転落死してしまう人もいたという。主人公おりんの部落では七十歳になると神のいる山に行き、一人で死を迎えなければならない。それは貧しい部落の掟なのだ。気丈なおりんは、捨てられる日を早めるため、自ら石臼(いしうす)に打ち当てて前歯を折ってしまう。おりんが神のいる楢山へと赴く日、息子辰平は、胸のはりさける思いで老母おりんを背負う。「お姥( んば) 捨てるか裏山へ 裏じゃ蟹でも這って来る」。辰平が最後に振り向いたとき、カラスの舞う山中に座るおりんの顔は、すでにこの世の形相ではなかった。日本人、民俗の無意識の闇に迫った名作として知られている。【コメント】つい最近、天願大介監督が「姥捨山」伝説の「その後」を描いた「デンデラ」(佐藤友哉原作)を映画化した。ちなみに天願大介は、かつて「楢山節考」でカンヌ映画祭パルムドール賞をとった今村昌平監督の息子で琉球大学法学部の出身。(だから「天願」なのか?)

  • 2018/12/27 図書
    東京百景 / 又吉直樹著
      

    この作品で何かの賞をとったなら…

    推薦者:山口真也先生(日本文化学科)図書館の予約20 人待ちを乗り越えて読んだ『火花』は個人的にはいまいちだったのですが、こちらはいいです。エッセイとして発売されたもののようですが、想像力を刺激してくれる、立派な文学。掌編小説集として読んでも十分に読み応えがあります。この作品で何かの賞をとったなら納得だったのに。同じ又吉さんの、『第2図書係補佐』(幻冬舎よしもと文庫)も、「書評」といいつつ、見事な短編集です。43歳のおじさんでも、なにか自分でも書いてみようかな、そんな気持ちにさせてくれる作品集です。若いみなさんだからこそ読んでほしいです。

  • 2018/12/26 図書
    朝鮮・琉球航海記 : 1816年アマースト使節団とともに / ベイジル・ホール著 ; 春名徹訳
      

    その琉球人がとった行動は、西洋人を感動させた。

    推薦者:田場裕規先生(日本文化学科)ペリー来航三十七年前の十九世紀初頭、同行してきたアマースト使節団の中国訪問の期間を利用して、朝鮮・琉球を訪れたイギリス軍艦艦長ベイジル・ホール(日本学者チェンバレンの外祖父)の探検・航海記。イギリス艦隊が初めて会った琉球人は、無名の漁師だった。そして、その漁師がとった行動は、西洋人を感動させた。

  • 2018/12/26 図書
    沖縄だれにも書かれたくなかった戦後史 / 佐野眞一著
      

    どこを読んでも強烈

    推薦者:下地賀代子先生(日本文化学科)沖縄に生きる人みんなに読んでほしい本です。南国の楽園、豊かな伝統芸能、最近は王朝ロマン溢れる歴史的な島など、「沖縄」はさまざまな側面から語られてきていますが、戦後の生々しい、陰と闇の部分はあまり知られていないと言えます。著者は、沖縄の戦前戦後史を賑わしたさまざまな人物にスポットライトをあて、その姿を描くことにより、「沖縄列島を一個の肉体と見立て、その肉体が戦後に演じ、あるいは演じさせられた悲劇と喜劇、まばゆい光と濃厚な影があやなす南島奇譚ともいうべきドキュメント」を作り上げています。どこを読んでも強烈で、衝撃的な内容です。表紙も良いです。女の子の眼差しがとても印象的で、心にくるものがあります。飾っておきたくなるほどかっこいい、という意味でもお気に入りの本です。2011年には待望の文庫版も刊行されました。(上下巻、集英社文庫)

  • 2018/12/26 図書
    本の読み方 : スロー・リーディングの実践 / 平野啓一郎著
      

    どこから読んでもおもしろい

    推薦者:桃原千英子先生(日本文化学科)芥川賞受賞作家による、本の読み方指南書である。「三島由紀夫の再来」と華々しいデビューを飾った作家が、書き手の立場から自分らしい読書の仕方を紹介する。 第1部はスロー・リーディングの基礎編、第2部はテクニック編、第3部は実践編で構成されており、どこから読んでも面白い。特に、第2部の「「なぜ」という疑問を持つ」というテクニックを用いると、本は何倍も面白くなる。第3部の実践編では、作家の読みと自分の読みを比較しながら古今の名作を楽しむことができる。

  • 2018/12/26 図書
    書店員あるある / 書店員あるある研究会著 ; 造事務所編 ; 菊地秀規漫画
      

    断捨離の本をまとめ買いする客を見ると「ぜったいに片付けられない」と思う

    推薦者:山口真也先生(日本文化学科)「本が大好き!」、「本屋さんに行くのが楽しみでたまらない」という人なら、ぜったいに楽しめる1冊。「断捨離の本をまとめ買いする客を見ると「ぜったいに片付けられない」と思う」、「私の本を置いてほしいとやってくる客がいる」など、書店・書店員の裏側を知ることができます。書店業に興味ある人はもちろん、「同級生が来るとちょっと気まずい」「力仕事ばかりだが女性の比率が圧倒的」など、同じ本を取扱う業種だからこそ、書店と図書館との共通点も読み取れる、なかなか興味深い1冊です。楽しい内容の本ですが、しっかり読むと、いろいろな出版知識も身につきます。関連本として『漫画・うんちく書店』(メディアファクトリー2013)もオススメです。

  • 2018/12/26 図書
    日本語文法・形態論 / 鈴木重幸著
      

    文法論の改革を目指して

    推薦者:下地賀代子先生(日本文化学科)この本のなかで解説されている文法論は、小学校や中学校で学ぶ、いわゆる「学校文法」とは全く異なっています。著者は、「これまでの中学・高校でおこなわれてきた文法-学校文法-の知識は、子どもたちのよみかきの力をつけるためにはほとんど役にたたない」と、学校文法を批判する立場をとっています。そして、「国語教育のなかで文法指導を実践するため」の文法論の改革を目指しています。この本は、ある私立の小学校で実際に使われた国語のオリジナル教科書を解説したもので、スラスラ読めるという性格のものではありません。ですが、じっくりと読んでいくことで、形態論という学問分野の基礎を身につけることができます。文法に興味がある人はぜひ手にとってみて下さい。

  • 2018/12/26 図書
    スペードの女王 ; ベールキン物語 / プーシキン作 ; 神西清訳
      

    あまりのラストに眠れなくなった…

    推薦者:黒澤亜里子先生(日本文化学科)「情熱と空想の虜」となった一人の男の悲劇を描いたロシアの国民詩人プーシキンの傑作。近衛騎兵ナルーモフ邸で行われたカルタ会。そこに紛れ込んだ堅物のドイツ人工兵士官ゲルマン。最初は勝負を見物していたはずのゲルマンだが、ある話を小耳にはさんだことによって、運命の罠にはまりこんでいく。若き日のアンナ・フェドートヴナ伯爵夫人は、パリの宮中カルタ会で巨額の負債をかかえたが、「三枚の掛札」によってたちまちのうちに負けを取り返してしまった。ゲルマンは、いつしかこの話の虜になり、ついに伯爵夫人の邸宅に入り込んで三枚の勝ち札の秘伝を明かすよう迫るが、夫人は衝撃のあまり急死する。葬儀の夜、亡霊がゲルマンの部屋を訪れ、三枚の勝ち札の秘密の明かす。ゲルマンはさっそくその教わった札でモスクワから来た賭博師に勝負をいどむが、最後の一枚がゲルマンを裏切る。勝ち札はスペードの女王に化け、老婆の顔をして目配せする。【コメント】中学生の時に読んで、あまりの怖いラストに眠れなくなった。ふだんギャンブルなどに無縁な、マジメな人ほどご用心。

  • 2018/12/26 図書
    日本近代文学の起源 / 柄谷行人 [著]
      

    「文学」は、制度として存在している

    推薦者:葛綿正一先生(日本文化学科)古典文学と呼ばれるものが近代文学と異なっていることはいうまでもありませんが、文学とは何でしょうか。本書は「文学」が制度として存在していることを解き明かしています。関連授業:日本文学概論関連本:山本健吉『古典と現代文学』(講談社文芸文庫)、前田愛『都市空間のなかの文学』(ちくま学芸文庫)、芳賀徹『みだれ髪の系譜』(講談社学術文庫)『絵画の領分』(朝日選書)

  • 2018/12/26 図書
    美麗島まで : 沖縄、台湾家族をめぐる物語 / 与那原恵著
      

    歴史の渦、家族の物語

    推薦者:西岡敏先生(日本文化学科)東京で生まれ育った筆者は、母と父の故郷である「沖縄」を探す旅に出た。しかし、母や、医者であった母の父(祖父)をたどる旅は、沖縄のみならず、ロシアから、台湾へと広がっていく。文化人的な医者として幅広い交友関係を持っていた祖父。「沖縄人女優第一号」だったかもしれない祖母。沖縄を代表する画家であった祖父の弟。そして、祖父が台湾で開業したため、台湾育ちとなった母。母は、その後、台湾から上京し、沖縄出身者として初の女性アナウンサーとなる。そして、良家の出身で沖縄県庁を辞めてまで上京し、母と結婚した父。時代は全面戦争へ突入しようとしていた。「美麗島」とは台湾のこと。筆者は、自らのルーツをたどるなかで、沖縄と台湾の近代の一面を見事に浮かび上がらせている。その歴史の渦の中で、家族の物語が、さまざまな人々との交流が、生き生きと描かれている。

  • 2018/12/26 図書
    夜の言葉 : ファンタジー・SF論 / アーシュラ・K.ル=グウィン著 ; 山田和子他訳
      

    一つの世界を創造するために必要なものは何か

    推薦者:村上陽子先生(日本文化学科)『ゲド戦記』や『闇の左手』を書いたル=グウィンが、自身の創作について語った講演や随筆をまとめた一冊です。難しい箇所もあるかもしれませんが、特に自分で小説を書いてみたいと考えている人、ファンタジーやSF好きな人にはぜひ読んでもらいたいと思います。ファンタジーやSFを書くとはどういうことか、一つの世界を創造するために必要なものは何か――。さまざまな問いを重ねていくうちに、言葉で世界を形作ることの困難と喜びが見えてきます。

  • 2018/12/21 図書
    王とサーカス = Kings and circuses / 米澤穂信著
      

    報道とはジャーナリズムとはなにかを問いかけてくるミステリー

    推薦者:山口真也先生(日本文化学科)2001年に実際に起こった「ネパール王族殺害事件」をモチーフに、殺害された軍人の足跡を追うミステリー小説。2015年のミステリーベストテン第1位の作品なので、謎ときの面白さはもちろんなのですが、報道とはなにか、ジャーナリズムとはなにか、を深く問いかけてくる作品です。マスコミに興味がある人もぜひ読んでみてください。※「2015年のミステリーベストテン第1位」『週刊文春2015年ミステリーベスト10』第1位、他『このミステリーがすごい!2016年版』第1位ミステリが読みたい!2016年版』第1位

  • 2018/12/21 AV資料
    砂の器 / 松本清張原作 ; 橋本忍, 山田洋次脚本 ; 野村芳太郎監督
      

    これは見るべきですね

    推薦者:黒澤亜里子先生(日本文化学科)松本清張の長編推理小説。ある夜、都内の蒲田操車場で、一人の男の他殺死体が発見される。被害者の身元は不明で、唯一の手がかりは被害者の東北訛りの「カメダ」という言葉だけ。捜査は難航するが、やがて捜査線上に一人の天才音楽家が浮かび上がる。当時のハンセン病に対する根強い差別を背景とし、方言を手掛かりにした出身地の探索など、いわゆる「社会派推理小説」の手法を用い、戦後の時代の空気を生々しく浮かび上がらせる。【コメント】映画化もされている。特に1974年製作の松竹版、野村芳太郎監督、橋本プロダクション第1回提携作品はすごい。俳優も、若き日の緒方拳、加藤剛、丹波哲郎、森田健作、島田陽子ほか、わきをかためるのがまた笠智衆など名優ぞろい。第29回毎日映画コンクール大賞(日本映画)・脚本賞(橋本忍・山田洋次)・監督賞(野村芳太郎)および音楽賞(芥川也寸志・菅野光亮)、キネマ旬報賞脚本賞( 橋本忍・山田洋次)、1974年度ゴールデンアロー賞作品賞、ゴールデングロス賞特別賞、モスクワ国際映画祭審査員特別賞および作曲家同盟賞をそれぞれ受賞。これは見るべきですね。

  • 2018/12/21 図書
    砂の器 / 松本清張著
      

    映画化もされています。

    推薦者:黒澤亜里子先生(日本文化学科)松本清張の長編推理小説。ある夜、都内の蒲田操車場で、一人の男の他殺死体が発見される。被害者の身元は不明で、唯一の手がかりは被害者の東北訛りの「カメダ」という言葉だけ。捜査は難航するが、やがて捜査線上に一人の天才音楽家が浮かび上がる。当時のハンセン病に対する根強い差別を背景とし、方言を手掛かりにした出身地の探索など、いわゆる「社会派推理小説」の手法を用い、戦後の時代の空気を生々しく浮かび上がらせる。【コメント】映画化もされている。特に1974年製作の松竹版、野村芳太郎監督、橋本プロダクション第1回提携作品はすごい。俳優も、若き日の緒方拳、加藤剛、丹波哲郎、森田健作、島田陽子ほか、わきをかためるのがまた笠智衆など名優ぞろい。第29回毎日映画コンクール大賞(日本映画)・脚本賞(橋本忍・山田洋次)・監督賞(野村芳太郎)および音楽賞(芥川也寸志・菅野光亮)、キネマ旬報賞脚本賞( 橋本忍・山田洋次)、1974年度ゴールデンアロー賞作品賞、ゴールデングロス賞特別賞、モスクワ国際映画祭審査員特別賞および作曲家同盟賞をそれぞれ受賞。これは見るべきですね。

  • 2018/12/21 図書
    ユージニア / 恩田陸著
      

    犯人が分かるようで、分からない。分からないようで、私には分かる。

    推薦者:山口真也先生(日本文化学科)名家の大量無差別毒殺事件。犯人は捕まったけど、なぜか釈然としない遺された者たち。見落とされた「真実」を証言する関係者たちの語りをベースに進行する、日本推理作家協会賞受賞の傑作ミステリー。犯人が分かるようで、分からない。分からないようで、私には分かる(ような気がする)。ミステリー小説としてはある意味では「失格」の1冊なのに、いつまでも心から離れない不思議な作品です。読み終わった後、何度も読み返してしまいます。

  • 2018/12/21 図書
    日本語不思議図鑑 / 定延利之著
      

    日常普段の言語の不思議を小気味よく解説

    推薦者:田場裕規先生(日本文化学科)一見すると書名が軽薄のように感じられるかもしれないが、認知言語学を一般向けに分かりやすく解説したものである。例えば「夜もふけてまいりました」と言ったとき、発話において「夜も」と言って「も」を使うが、夜以外に何がふけてきたのかと疑問をもつ。そんな、日常普段の言語の不思議を小気味よく解説していきます。本格的な認知言語論を学ぶ前に読んで、頭を柔らかくしよう。

  • 2018/12/21 図書
    言語 : ことばの研究序説 / エドワード・サピア著 ; 安藤貞雄訳
      

    初版から90年経てもなお、得るものの多い価値ある1冊

    推薦者:下地賀代子先生アメリカの言語学者・人類学者エドワード・サピア(1884-1939) による言語学概論です。「天才的」と形容されるサピアのこの本は、第1章の「言語の定義」から第11章の「言語と文学」まで、とても幅広く、かつ深淵な内容を含んでいます。でも、文章は軟らかく、詩的な印象を受けるところもあり、他の一般言語学の概説書よりも読みやすいです。目次を見て、興味のあるところから読み始めてみて下さい。原本は1921年に出版され、今回紹介している岩波文庫版を含め、3冊の翻訳本がでています。(木坂千秋訳、1943年(刀江出版)、泉井久之助訳、1957年(紀伊國屋書店))90年たった今なお、得るところの多い価値ある本です。ちなみに、手に入りにくい先の2冊の初版本を持っているというのが私の秘かな自慢です。

  • 2018/12/21 図書
    砂の女 / 安部公房著
      

    海外でも評価の高い作品です

    推薦者:黒澤亜里子先生(日本文化学科)砂丘の穴の底にある一軒屋に閉じ込められた男と、その一軒屋に住む女とを描いた安部公房の長編小説。男は蟻地獄のような穴から逃げようとさまざまな抵抗を試みるがすべて失敗し、最後にはこの村で女と暮らすことを受け入れる。1962年6月に新潮社から上梓され、英語・チェコ語・フィンランド語・デンマーク語・ロシア語等の二十数ヶ国語で翻訳された。1963年、第14回読売文学賞を受賞。1968年、フランスで最優秀外国文学賞を受賞。

  • 2018/12/21 図書
    完本八犬伝の世界 / 高田衛著
      

    馬琴の小説はどれも面白い

    推薦者:葛綿正一先生(日本文化学科)馬琴の小説はどれも面白い。本書は、その面白さの一端を解明しています。関連授業:日本古典文学史関連本:高田衛『雨月物語』(ちくま学芸文庫)、長島弘明『雨月物語の世界』(ちくま学芸文庫)、尾形仂『座の文学』(講談社学術文庫)、芳賀徹『与謝蕪村と小さな世界』(中公文庫)

  • 2018/12/21 図書
    琉舞手帖 : 初心者から上級者までの琉球舞踊解説書 / 大道勇著
      

    その名の通り、琉球舞踊解説書

    推薦者:狩俣恵一先生(日本文化学科)その名の通り、初心者から上級者までの琉球舞踊解説書です。古典舞踊29演目、雑踊17演目、創作舞踊10演目の計56演目について歌詞の説明や、内容、見所を解説。

  • 2018/12/21 図書
    沖縄の歴史と文化 / 外間守善著
      

    沖縄の歴史・文化入門書に最適

    推薦:西岡敏先生(日本文化学科)沖縄の歴史・文化に関する入門書として最適の本である。沖縄の文化を太平洋圏という広い視野で捉え、様々な学問の観点から分かりやすく余すところなく説明されている。序章「太平洋文化圏の中の沖縄」、第1章「沖縄の歴史のあゆみ」、第2章「沖縄の言語と文化」、第3章「神歌にみる宮古・八重山の歴史」という構成になっている。沖縄文化はチャンプルー文化といわれるが、著者の外間守善も、沖縄文化の複合性ということで、染織、工芸、酒など沖縄の生活を彩ってきた文化が、さまざまな方面の影響から生み出されたことを示している。また、沖縄方言と日本古語との関係、沖縄語による現代的表現の取り組みなど、言語を中心に据えた文化の読み解きからも多くの示唆を汲み取ることができる。また、沖縄地域のみならず、宮古・八重山地域にもしっかりと目配りが行き届いている。

  • 2018/12/21 図書
    苦海浄土 : わが水俣病 / 石牟礼道子著
      

    現在の私たちの問題にもつながってくるはずです

    推薦者:村上陽子先生(日本文化学科)「公害の原点」と言われた水俣病。工場廃水に含まれていた水銀が原因で多くの人々が病に苦しみました。水俣で育った石牟礼道子が、病のために発話もおぼつかなくなった人々に寄り添い、書き綴った「魂のことば」の鮮烈さは色褪せることがありません。水俣病の原因となった工場には、水俣市の人々の多くが雇用されていました。そのため、水俣病問題は工場に勤める人々と患者とを引き裂くものともなってしまいました。「公害」がもたらしたものを知り、考えることは、現在の私たちの問題にもつながってくるはずです。

  • 2018/12/21 図書
    心の底をのぞいたら / なだいなだ著
      

    一つ一つ「なぜ?」と立ち止まることで

    推薦者:桃原千英子先生(日本文化学科)"nada y nada"(何もなくて、何もない)をペンネームに持つ筆者の、心理学に対する見方を綴った本である。文化人類学の影響を受け、人間の心理を文化との関係から述べた本書は、当時、心理学の正統から外れた新説であった。しかし、現在、21世紀を生きる我々の心を、ものの見事に解き明かしてくれる。自明とされてきた事に光を当て、一つ一つ「なぜ?」と立ち止まることで、論理的に考える力をつけてくれる一冊である。

  • 2018/12/20 図書
    グスコーブドリの伝記 / 宮沢賢治[著]
      

    私たちは今もグスコーブドリの時代に生きている

    推薦者:黒澤亜里子先生(日本文化学科)この作品を取り上げた理由は二つある。一つは賢治が岩手県花巻町の出身だということ、もう一つは今回の東日本大震災や、原発事故から、すぐにこの作品を連想したからだ。ブドリが生まれたイーハトーブの森は、岩手県花巻町がモデルだとされる。東北はずっと昔から、厳しい自然に痛めつけられてきた地域だった。ブドリは、冷害による飢饉で一家離散し、たった一人の妹とも引き離されてしまう。その後、火山噴火、干ばつによる被害などの苦難を経て、イーハトーブ火山局の技師となるが、ブドリが27才の時、再び冷害が起きる。ブドリは、冷害を食い止める最後の解決策として、火山を人工的に爆発させ、大量に放出した二酸化炭素で大気を暖めるという思い切った方法を提案する。しかし、そのためには誰か一人が最後まで火山に残る必要があった。ふたたび自分や妹のような不幸な子供たちを作りだしてはならない。ブドリは皆に黙って、一人火山に残り、爆発のスイッチを押す。ブドリの命と引き換えに、冷害はくい止められたのだ。【コメント】東北の冷害と貧しさ、科学への希望と信頼、宗教と自己犠牲、日本的心性のことなどを考えると、心おだやかでない。今回の原発事故のことを思い、子供のころ、この本を読んだときのやりきれない気持ちを思い出しました。私たちは今もグスコーブドリの時代に生きているのだと思う。

  • 2018/12/20 図書
    拝啓、本が売れません / 額賀澪著
      

    本に携わる人たちの、「今」と「思い」

    推薦:村上陽子先生(日本文化学科)本書の著者は1990年生まれの若い新人作家です。文学賞を受賞してデビューを果たしたものの、自分の本がなかなか売れない。おもしろいと思うものを書き、それをおもしろいと思ってくれる人がいるから本になるのですから、「本の中身がおもしろい」ことは、市場に出ている本の大前提です。おもしろい本なのに売れないのは一体なぜなのか?そこで著者は、売れる本とはどんな本なのか、さまざまな人々を巻き込んで研究をはじめます。編集者、書店員、WEBコンサルタント、映像プロデューサー、装丁家…。一冊の本を作り上げ、市場に出し、販売し、宣伝することは作家だけの力でできるものではありません。さまざまな立場の人々に取材し、教えを乞いながら、著者は自分の本に足りない「何か」をつかみ取ろうと奮闘します。書くことに興味のある人はもちろんのこと、書店の仕事や出版業界に興味のある人にもぜひ読んでほしい一冊です。

  • 2018/12/20 図書
    おもろさうし / 外間守善著
      

    沖縄人の信仰世界や心象風景をくっきりと照らし出す。

    推薦:西岡敏先生(日本文化学科)沖縄の古典である「おもろさうし」。16世紀から17世紀、首里王府によって集められた神歌の数々は、古琉球に生きた沖縄人の心の風景を余すところなく写し出している。沖縄固有の思想が記された沖縄人の聖典といっても過言ではないだろう。沖縄人にとっての他界であるニライカナイとオボツカグラ、太陽崇拝と日子(てだこ)思想、英祖や察度など沖縄の歴史を切り拓いた英雄たち、勝連文化を築き上げた阿摩和利の活躍、沖縄開闢の神であるアマミクと稲作の来た道、姉妹が霊的に兄弟を守護するという「おなり神」信仰、抒情文学の先駆けとしての「ゑさおもろ」および「ゑとおもろ」。オモロ研究の第一人者である外間守善が、沖縄の歴史と民俗を見据えながら、沖縄人の信仰世界や心象風景をくっきりと照らし出す。

  • 2018/12/20 図書
    遠野物語 ; 山の人生 / 柳田国男著
      

    昔話の不思議な魅力

    推薦者:葛綿正一先生(日本文化学科)日本民俗学を開拓した柳田国男の代表作です。昔話に興味のある人はぜひ読んでください。関連授業:日本文化論II関連本:折口信夫『死者の書』(中公文庫)、南方熊楠『十二支』(岩波文庫)、宮本常一『忘れられた日本人』(岩波文庫)、柳宗悦『民芸四十年』(岩波文庫)、和辻哲郎『風土』(岩波文庫)、坂口安吾『日本文化私観』(新潮文庫)、山口昌男『道化の民俗学』(ちくま学芸文庫)

  • 2018/12/20 図書
    組踊への招待 / 矢野輝雄著
      

    組踊研究入門書

    推薦者:狩俣恵一先生(日本文化学科)沖縄の国劇である「組踊」の歴史を紹介した1冊。実演の写真も豊富。組踊研究を目指す人にとって必須の入門書です。

  • 2018/12/20 図書
    夜と霧 / ヴィクトール・E・フランクル [著] ; 池田香代子訳
      

    世界が変わる。全学生必読です!

    推薦者:黒澤亜里子先生(日本文化学科)ユダヤ人精神分析学者がみずからのナチス強制収容所体験をつづった本。1956年の初版以来、日本でもすでに古典として多くの人々に読みつがれている。一体験記にとどまらず、すぐれた文学や哲学の書として座右においている人も少なくないはず。著者は悪名高いアウシュビッツに収容され、家族の中でただ一人生還した。想像を絶する苛酷な環境を生き抜いたことに驚嘆するが、さらに本書のもうひとつの興味深い特徴は、著者が心理学者であったことだ。フランクルは自分のみならず、極限におかれた周囲の人々の心理状態を観察し、分析する。その思索や洞察は、ユダヤ人収容者のみならずドイツ人の監督官にもおよび、やがて「人間とは何か」という深淵におよんでいる。【コメント】私自身も、この本を読む前と後とでは世界が変わった気がしたものです。霜山徳爾訳と池田香代子訳(新版)があり、読み比べてみるのも面白いと思う。大学生必読の本です!

  • 2018/12/20 図書
    世界の言語と日本語 : 言語類型論から見た日本語 / 角田太作著
      

    英語が基準・・・そんな迷信(?)も一刀両断

    推薦者:下地賀代子先生(日本文化学科)まず帯の言葉に注目です。「日本語は特殊な言語ではない」。この本の内容は「言語類型論の観点から見た日本語」というものです。類型論とはさまざまな言語を比べて類似点、相違点を探り、最後に、すべての言語にあてはまる普遍的な要素を見つけようとする言語学の一分野です。著者は、日本語を世界の諸言語と比較して、似ている点、異なる点を明らかにし、日本語を幅広い視野から眺めています。そして、帯に書かれている結論に至っているわけです。また、日本では英語偏重の傾向が強いため英語を言語の基準においてしまう人が多いと言われるのですが、そんな迷信(?)も、ずばっと一刀両断にされています(第9章「日本語は特殊な言語ではない、しかし、英語は特殊な言語だ」)。少し難しい本ですが、頑張って読んでみてほしいです。初版は1991年、2009年に改訂版がでています。

  • 2018/12/20 図書
    琉球布紀行 / 澤地久枝著
      

    美しい布にこめられた精神

    推薦者:田場裕規先生(日本文化学科)琉球大学で戦後史を勉強するために、2年間沖縄に滞在した澤地が、手仕事の現場を訪ね歩いて、染織について綴ったもの。手仕事の現場でみた沖縄の風土とは何だったのだろう。そして美しい布にこめられた精神は何なのか。自問を繰り返しながらさわやかに語る。垂水健吾の写真もすばらしい。

  • 2018/12/20 図書
    何者 / 朝井リョウ著
      

    どんなミステリーよりも恐ろしい、背筋が凍るラスト

    推薦者:山口真也先生(日本文化学科)「大学生の就活」をテーマにしたリアルな現代小説。大学生ならだれもが経験しそうな人間関係の駆け引きを軸としたストーリーで、ふと気が付くと、主人公の感情に寄り添ってしまっている自分がいます。主人公の周りにいる、なんだかちょっとイライラする人たちを、ちょっと小馬鹿にしながら読み進めていくと・・・、最後の最後で大きな落とし穴が。どんなミステリーよりも恐ろしい、背筋が凍るラストが待っています。随所にちりばめられる「就活あるある」も、1年生が読んでもためになると思います。物語を読む楽しさを味わえる一冊です。

  • 2018/12/20 図書
    宣告 / 加賀乙彦著
      

    死刑という刑罰の意味は?その是非は?

    推薦者:山口真也先生(日本文化学科)死刑宣告をうけた受刑者たちの苦悩を描いた1400ページを超える大長編。大学時代に読んだ本でいちばんおもしろかったのは間違いなくこの本です。物語として読んでも大変面白いのですが、作者は死刑廃止を訴えている識者の1人。「死刑」という刑罰の意味・是非を考えながら読むとさらに味わいが深くなると思います。

  • 2018/12/20 図書
    思考と言語 / ヴィゴツキー著 ; 柴田義松訳
      

    心理学的研究の名著

    推薦者:桃原千英子先生(日本文化学科)ロシアのヴィゴツキーによる、心理学的研究の名著である。子どもの思考と言語の発達の問題に関する研究や、内言の研究、生活的概念と科学的概念との比較研究、障害児の研究など、現在の教育界にも大きな貢献を果たしている。言葉に関心を持つ人、教育に関心を持つ人には必読の書である。関連授業:日本文学特講国語科教育法【難解だと感じた人に】『ヴィゴツキー入門』柴田義松(子どもの未来社 2006.3)言語、芸術、障害児教育、発達心理学など、あらゆる方面からヴィゴツキーのガイドラインに迫れる「入門書」である。ヴィゴツキーの37年の生涯が刺激的なエピソードとともに綴られている。

  • 2018/12/19 図書
    組踊入門 / 宜保榮治郎著
      

    組踊の世界を感じる

    推薦者:狩俣恵一先生(日本文化学科)組踊の理解と鑑賞のためのテキスト。玉城朝薫の「五番」と人気演目3編を合わせた8編について、あらすじ、台詞(口語訳つき)、解説を掲載しています。写真も豊富。組躍の世界がもっと身近に感じられます。

  • 2018/12/19 図書
    日常性批判 : シュッツ・ガーフィンケル・フーコー / 山田富秋著
      

    社会を多角的に捉える

    推薦者:桃原千英子先生(日本文化学科)常識の解剖学と理解されているエスノメソドロジーを、常識批判として構築しなおす試みの書である。専門的な用語が多く、難解な印象を受けるが、日常が構成されるメカニズムを社会学的方法から考察することで見えてくる世界がある。社会を多角的に捉えることができる。関連授業:日本文学特講

  • 2018/12/19 図書
    マンガはなぜ規制されるのか : 「有害」をめぐる半世紀の攻防 / 長岡義幸著
      

    表現を「良い」「悪い」区別することはできるか

    推薦者:山口真也先生(日本文化学科)このところ東京都青少年保護条例の改正、そして児童ポルノ禁止法の改正案の国会提出など、マンガ・コミックの表現活動を取り締まる動きが強まっています。問題視されているのは過激な性表現を含むポルノコミックです。中には子どものポルノ(チャイルドポルノ) もあります。一見、目を覆いたくなるような表現もありますが、コミックは好きな人がお金を出して買うもので、テレビのように不特定多数の人が不用意に目にしてしまうものではありません。架空の物語なので、実際の子どもの被害を前提にした作品でもありません。犯罪でもないのに、「良いセックス」と「悪いセックス」を区別することができるのでしょうか。同人誌にマンガを描いている人は必読です。関連授業:児童文化論

  • 2018/12/19 図書
    古典の読み方 / 藤井貞和 [著]
      

    古典文学の読み方がわかります

    推薦者:田場裕規先生(日本文化学科)日本の古典文学を読みこなすためには、どのようなスキルを身に付けるべきかを順をおって示した一書。注釈書や辞書との付き合い方や、文法の考え方を示し、そして具体的なテクストを用いて読み方へと導いていく。一つ一つのトピックが独立しているので、どこから読んでもいいだろう。

  • 2018/12/19 図書
    じゃっで方言なおもしとか / 木部暢子著
      

    アンシースマフツェ゚ーウムッシムン

    推薦者:下地賀代子先生(日本文化学科)本のタイトルとなっているのは「だから方言はおもしろい」という意味の鹿児島方言です。鹿児島をはじめとする九州各地、また奄美大島や与那国島など琉球の諸地域で行った20 年以上にわたるフィールド調査の成果に基づき、イントネーションや親族を表す言葉、「さかさまことば」(具体的な内容は読んで確かめて下さいね)、1人称複数形など、多岐にわたる話題を紹介しています。また第5章では、「方言の将来」として多くの言語(方言)がさらされている「消滅危機」の問題にも言及しています。(ここは言葉に興味のある人みんなに読んでもらいたいところです。)地域の言葉には「共通語」には見られないさまざまな現象が盛りだくさんです。「アンシースマフツェ゚ーウムッシムン」(「だから方言はおもしろい」宮古多良間方言)。「共通語」だけが「日本語」だと思うことなかれ。ちなみに、著者である木部先生は私の元上司で、今でも大変お世話になっている大先生です。

  • 2018/12/19 図書
    掌の小説 / 川端康成著
      

    川端康成入門編に最適。

    推薦者:黒澤亜里子先生(日本文化学科)「掌(てのひら)の小説」という表題のように、収録された小説はいずれも短編で100篇以上。一般に川端康成といえば、「雪国」や「伊豆の踊り子」といった作品が有名だが、この短編集にはさまざまな趣の作品が収録されているので新しい発見がある。日本で最初のノーベル文学賞を受賞した作家の本格的長編にチャレンジするための入門編としても最適。【コメント】昼休みや授業時間の合間など、ちょっとした時間を見つけて楽しめる。実は若い頃「化粧」という作品を読み、この作家が嫌いになったことがありました。今は違う意味で面白い。大人になったんですね(笑)。

  • 2018/12/19 図書
    「いき」の構造 : 他二篇 / 九鬼周造著
      

    その反対はやぼ

    推薦者:葛綿正一先生(日本文化学科)その反対語は野暮(やぼ)だとされていますが、粋、意気とは何でしょうか。本書は実に繊細に「いき」を解明しています。関連授業:日本文化論II関連本:ルース・ベネディクト『菊と刀』(光文社文庫、講談社学術文庫)、ラフカディオ・ハーン『小泉八雲集』(新潮文庫)、新渡戸稲造『武士道』(岩波文庫)、岡倉天心『茶の本』(岩波文庫)、内村鑑三『代表的日本人』(岩波文庫)

  • 2018/12/19 図書
    琉球語の美しさ / 仲宗根政善著
      

    琉球語に注いだ愛情がわかる珠玉の方言エッセイ

    推薦者:西岡敏先生(日本文化学科)仲宗根政善(1907-1995)は、沖縄戦のさなか、ひめゆり学徒隊の引率教師であった。多くの教え子を失った仲宗根は、戦後、反戦平和の道を求め続けるが、彼は若い頃から琉球方言の研究を志す方言学者でもあった。沖縄戦により、熱心に集めていた彼の故郷のことば、今帰仁方言を綴ったノートも灰燼に帰してしまう。しかし、戦後、仲宗根は再び今帰仁方言の収集に取り組み、ついにそれは『沖縄今帰仁方言辞典』(1983)へと結実する。仲宗根は琉球大学で教鞭をとったが、その誠実な人柄と研究・教育に対する真剣な姿勢に薫陶を受けた教え子は数多い。『琉球語の美しさ』は、彼が書きのこした珠玉の方言エッセイ集である。仲宗根の個人的な体験が、琉球方言まじりの文章によって生き生きと蘇ってくる。仲宗根が琉球語にどれほど愛情を注いでいたか、そして、琉球語を知るということはどういうことなのか、本書を読んで感じてほしい。

  • 2018/12/19 図書
    記憶/物語 / 岡真理著
      

    誰かとつながる言葉になる、そんな希望

    推薦者:村上陽子先生(日本文化学科)戦争や殺戮、性暴力など、破壊的な出来事を当事者が語るのは、非当事者が考える以上に難しいことです。そしてもし自分の身に起こったことを語らないままに当事者がこの世を去ってしまったら……その出来事は「なかったこと」になってしまうかもしれません。出来事を歴史から消さないために、それらは物語られ、他者に受け渡され、記憶される必要があります。本書では、小説や文学を通して出来事の記憶を分かち合うことがさまざまなかたちで試みられています。苦しみを語る言葉が、その苦しみを分かちあってくれる誰かとつながるための言葉にもなる。そのような希望を抱かせてくれる一冊です。

  • 2018/12/19 図書
    図書館の基本を求めて / 田井郁久雄著
      

    図書館にまつわるエッセイ集、司書課程学生必読です

    推薦者:山口真也先生(日本文化学科)岡山市立図書館に30年勤務し、その後大学教員として司書課程で教えられた田井先生のエッセイ集。「図書館があるから本は売れない!」「指定管理者になったら図書館の利用者は増えた!」といった世の中で流布する図書館批判を、データをもとに次々に論破して行きます。図書館でいま何が問題になっているか、が見えてくる1冊としてもお勧めですし、論理的な思考力を鍛える1 冊としても、司書を目指すみなさんにはぜひ読んでほしい1冊です。

  • 2018/12/19 図書
    金子みすゞ童謡集 / 金子みすゞ著
      

    みすゞの詩は甘くない。

    推薦者:黒澤亜里子先生(日本文化学科)最近のテレビCM で「こだまでしょうか、いいえ誰でも」というフレーズがやたらに耳についたが、みすゞの世界は奥が深い。金子みすゞは、大正末期から昭和初期にかけて活動した童謡詩人。26歳の若さで亡くなるまでに512 編もの詩を残したが、その名は長らく埋もれていた。しかし、矢崎節夫らによってみすゞの遺稿が大量に発掘され、1984 年に出版されると、にわかに再評価の気運が起こった。近年は一種の「みすゞブーム」の観があるが、「さわり」だけでなく、じっくり向き合って読んでほしい童謡集。【コメント】 みすゞの詩は甘くない。独特の鋭さとアイロニー、絶望や死と向き合った果ての「みんなちがってみんないいい」だから。金子みすゞ自身の人生を知ると、さらに興味がわくはずです。

  • 2018/12/18 図書
    ゴールデンスランバー / 伊坂幸太郎著
      

    ラストはお見事!な上、個人情報保護等も考えさせられます。

    推薦者:山口真也先生(日本文化学科)衆人環視の中、首相が爆殺され、なぜか犯人に仕立て上げられる主人公。首相暗殺の濡れ衣を着せられ、様々な人の助けを借りて、必死の逃亡を続けていきます。伊坂幸太郎さんらしい伏線につぐ伏線で、すべてのパズルのピースが組み合わさるようなラストはお見事です。エンターテイメント作品ですが、「監視社会」の怖さが読み取れる部分があり、図書館学などで教えているプライバシー・個人情報保護の必要性についても考えさせられます。楽しみながら、専門分野を学べる1冊として紹介します。関連授業:図書館情報技術論

  • 2018/12/18 図書
    カクテル・パーティー / 大城立裕著
      

    沖縄の「いま」を考えるために

    推薦者:村上陽子先生(日本文化学科)1967年、沖縄初の芥川賞受賞に輝いた「カクテル・パーティー」。米軍統治下にあった沖縄において、この受賞は社会的にも大きな意味を持つものでした。「カクテル・パーティー」は、中国語サークルのメンバーである米軍将校、中国人弁護士、日本人新聞記者、役所勤めの沖縄人(主人公)の4 人が親善を深めるパーティーの場面で始まります。しかしパーティーから帰宅した主人公は、娘が顔見知りの米兵にレイプされたことを妻から知らされます。レイプ事件の告訴をめぐり、米軍占領の実態や親善の欺瞞が暴かれていくことになります。初出から50 年以上を経て新たに文庫となったことで、現代の読者が手に取りやすくなりました。沖縄の「いま」を考えるために、ぜひ読んでみてほしいと思います。

  • 2018/12/18 図書
    日本語の系統 / 服部四郎著
      

    琉球、沖縄への深い愛情

    推薦者:西岡敏先生(日本文化学科)服部四郎(1908-1995)は日本を代表する世界的な言語学者である。特に、日本語はどこから来たのか、日本周辺の言語が日本語とどう関係しているのかについて、優れた論考を残している。その中で、琉球語と日本語との関係性の追究も重要な位置を占めていた。本書には、琉球語と日本語がどのくらい離れているのか、琉球語を話す民族の起源はどこか、琉歌とはどのような文学なのかなど、学問として厳密に追究しつつも、服部の琉球に対する熱い思いが隋所に表れている。また、最後に所収の「奄美群島の諸方言について」は、同じ琉球方言に属する奄美方言への深い関心を物語る。服部四郎は、仲宗根政善の一年後輩であるが、大学時代から仲宗根と学問の交流を深め、互いの尊敬の念は終生変わることがなかった。厳格な人物として知られた服部であるが、仲宗根から沖縄について多くのことを学び、沖縄に対する深い愛情を持ち続けたのである。

  • 2018/12/18 図書
    南島雑話の世界 : 名越左源太の見た幕末の奄美 / [名越護著]
      

    イラストも満載です

    推薦者:狩俣恵一先生(日本文化学科)奄美の民俗や自然を現代に伝える『南島雑話』の魅力と著者である薩摩武士・名越左源太の生涯を紹介。イラストも満載。関連授業:琉球文学概論、日本芸能史、琉球文学講読

  • 2018/12/18 図書
    監督小津安二郎 / 蓮實重彦著
      

    小津安二郎映画の魅力は何か

    推薦者:葛綿正一先生(日本文化学科)ドイツの映画監督ヴィム・ヴェンダース、アメリカの映画監督ジム・ジャームッシュなど世界的に影響を与えた小津安二郎の映画の魅力は何でしょうか。ギリシャの映画監督テオ・アンゲロプロス、イタリアの映画監督ベルナルド・ベルトルッチなど世界的に影響を与えた溝口健二の映画の魅力とどのように異なっているのでしょうか。本書を参考に考えてみてください。関連授業:日本文化論I関連本:アンドレ・バザン『映画とは何か』上・下(岩波文庫)、ジル・ドゥルーズ『シネマ』1・2(法政大学出版局)、四方田犬彦編『映画監督溝口健二』(新曜社)、四方田犬彦『大島渚と日本』(筑摩書房)、木村建哉編『甦る相米慎二』(インスクリプト)、加藤幹郎『表象と批評』(岩波書店)

  • 2018/12/18 図書
    15歳からのニッポン文学 : 勝手に純文学ランキング / 純文学研究会著
      

    スナックみたいな軽い読みものから、フランス料理のようなしっかり読みものまで

    推薦者:黒澤亜里子先生(日本文化学科)「10代後半から20代に読んでもらいたい本」というコンセプトで、『博士の愛した数式』の作者小川洋子・「ケータイ小説の第一人者」内藤みか・「ライトノベルズ作家の第一人者」成田良吾という作家三人が選んだ「勝手に純文学ランキング」(本書より)である。その他、家族・生き方・進路・友情・恋・性・戦争・仮想空間(ファンタジー)・差別・障害といったテーマごとの作品ランキングもある。内藤みかが山本有三の「路傍の石」を選んでいたり成田良吾が夏目漱石の「こころ」を選んでいたりと、かなりシブい。 【コメント】スナックやコンビニ弁当のような気軽な読みものもいいが、たまにはしっかりした「懐石」とか「フルコースのフランス料理」にも挑戦してみたいものです。ということで、まずは入門編からどうぞ。

  • 2018/12/18 図書
    ことばと思考 / 今井むつみ著
      

    言語が違うと、認識が違う!!??

    推薦者:奥山貴之(日本文化学科)私たちは、言葉を通して世界を見ているし、言葉を通して思考しています。この言葉と思考の関係について考えようというのが本書です。「言語が異なると認識が異なる」ということは20 世紀前半から文化人類学者や言語学者が唱えていたことで、今でも外国語学習の中ではよく言われることです。認知科学、中でも認知心理学・発達心理学・言語心理学を専門とする筆者は、様々な実験からそれを検証していきます。こうして言語と思考の関係について考えることは、自分の言語や思考を相対化して捉えることを促してくれます。言語と思考の関係から、人間の本質に迫ってみましょう。

  • 2018/12/18 図書
    「私」とは何か : ことばと身体の出会い / 浜田寿美男著
      

    ことばと身体の出会いが「私」を成立させる

    推薦者:桃原千英子先生(日本文化学科)著者は、発達心理学、供述分析の研究者である。発達論的還元の手法を用いて、「白紙の状態」で生まれ落ちたはずの人間が、ほかの誰でもない「私」となる様を検証した本である。ことばと身体の出会いが「私」の世界を成立させると、ソシュールやピアジェ、フッサールなどの研究をもとに述べている。関連授業:国語科教育法

  • 2018/12/18 図書
    コレモ日本語アルカ? : 異人のことばが生まれるとき / 金水敏著
      

    実際、そんな話し方してない!・・・のに、そんな風に感じてしまう。

    推薦者:下地賀代子先生(日本文化学科)「これながいきの薬ある。のむよろしい。」この台詞を話している人は?と尋ねられたら、「中国人」と答える人は少なくないと思います。でも、実際の中国の人はこんな日本語の話し方はしていませんよね。なぜ、私たちはそのように感じてしまうのか。筆者は「役割語」研究の第一人者です。「役割語」とは特定の話し方と人物像とが強く結びつけられ、かつその結びつき= 連想が社会的に共有されているときの、その話し方のことを指します。この「役割語」の観点から、先の<アルヨことば> のルーツと歴史的形成について、中国における言語実態も踏まえつつ探求・考察しようとしています。興味を持った人は同著者による『ヴァーチャル日本語役割語の謎』(2003岩波書店) も合わせて読んで見て下さい。

  • 2018/12/18 図書
    やさしい日本語 : 多文化共生社会へ / 庵功雄著
      

    「伝えあう」ために

    推薦者:奥山貴之先生(日本文化学科)様々な背景を持つ人が、日本で暮らしています。そして、今後その数はさらに増えていくことが見込まれます。日本社会でこれらの人々が「共生」していくためのアイデアの一つに、「やさしい日本語」があります。相手に合わせて言語的に工夫をしたものが「やさしい日本語」だと考えると、その対象は外国人に限らないことが分かります。様々な人とお互いに「伝えあう」ための具体的な方法や考え方を学ぶ、いい材料になると思います。

  • 2018/12/18 図書
    文人悪食 / 嵐山光三郎著
      

    あの偉大な作家も、私と同じ、食べている

    推薦者:田場裕規先生(日本文化学科)文人たちの食事・食卓に関わるエピソードをまとめたもの。三十七人の文人を取り上げた。雲の上の存在と思うような文人も、私たちと同じように食事を毎日繰り返していた。好物とその人の作品とのギャップや、食をめぐる数々の逸話は、あたかも舞台裏の楽屋をみるように楽しい。嵐山著『文人暴食』もあわせて読んでほしい。

  • 2018/12/18 図書
    図書館「超」活用術 : 最高の「知的空間」で、本物の思考力を身につける / 奥野宣之著
      

    ネットで何でも検索できるからこそ

    推薦者:山口真也先生(日本文化学科)図書館の活用法を書いた本はいろいろ出ていますが、著者である奥野さんは、文筆家でありながら、この本を書くために講習に通って司書資格を取得したそうです。それだけに、図書館の「外」の人たちが読んで「なるほど」と思わせるだけでなく、図書館関係者が読んでも、図書館の理念をしっかりとらえたテキストになっています。最近は、図書館なんて使わなくても、ネットがあれば何でも分かる、と思っている人も多いかもしれませんが、ネットで何でも分かるからこそ、図書館を使わないといけない、という逆説的な図書館活用術が書かれています。この本を読んで、ぜひ図書館を使い倒しましょう。関連授業:図書館概論 図書館サービス概論

  • 2018/12/17 図書
    23分間の奇跡 / ジェームズ・クラベル著 ; 青島幸男訳
      

    コントロールすることがいかに簡単か

    推薦者:山口真也先生(日本文化学科)戦争で負けたある国の、ある小学校の、ある教室に、新しい先生がやってきます。その先生は言葉巧みに、子どもたちから、国家や親、宗教への忠誠を奪っていきます。40 ページにも満たない短いお話ですが、子どもたちの心をコントロールすることがいかに簡単か、ということにはっとさせられます。物語の登場人物は主に子どもですが、このことは大人にも当然当てはまります。私たちが正しいと思っていることは本当に正しいのでしょうか。人が、誰かから与えられた情報・教育だけでなく、主体的に学び、自分の意見をもつために、図書館が存在します。司書を目指す人にぜひ読んでほしい1 冊です。関連授業:図書館概論 図書館情報資源概論

  • 2018/12/17 図書
    父と暮せば / 井上ひさし著
      

    いかに生き直していくかをたどる物語

    推薦:村上陽子先生(日本文化学科)広島に原爆が投下されてから3年後の夏。図書館で働く23 歳の女性・福吉美津江の前に、原爆で死んだ「おとったん」の幽霊があらわれます。美津江が、図書館の利用者である一人の男性に心動かされたことを感じとって出て来た「おとったん」は、「恋の応援団長」として奮闘します。しかし美津江は、原爆で死んでいった人々のことを考えると、自分だけが幸せになることはできない、と言い張ってききません。はたして「おとったん」は美津江の心をときほぐすことができるのでしょうか?原爆という破壊的な出来事を生き延びた人々が自らの人生をいかに生き直していくかをたどる物語です。

  • 2018/12/17 図書
    沖縄女性史 / 伊波普猷著
      

    伊波普猷、その人の視点の新しさ

    推薦者:西岡敏先生(日本文化学科)沖縄学の父と呼ばれる伊波普猷(1876-1947)は、女性についても当時としては革新的な考えを抱いていた。日本女性史研究の出発点である『大日本女性史』の発刊が1938年(昭和13年)であることを考えると、本書『沖縄女性史』の1911年(大正8年)発刊は伊波の視点の新しさを証明するものといえよう。元来、琉球では、「政治=男性」「宗教=女性」という役割分担がなされ、女性の宗教的な権威が高い社会であった。首里王府の公認の女性祭祀者であるノロをはじめ、民間で信仰されているユタなどの存在も、宗教世界における女性の果たす大きさを物語っている。伊波は、古琉球から続く女性優位の宗教世界を見出し、農村におけるモーアシビ(野遊び)と都市における遊女の発達を見据える。文学では女流歌人恩納ナビーの活躍を描写し、民俗ではハジチ(刺青)や服装の習俗などを考察している。

  • 2018/12/17 図書
    南島歌謡 / 小野重朗著
      

    南島歌謡の発生を考える

    推薦者:狩俣恵一先生(日本文化学科)南島歌謡の発生を考えるための基本テキストのひとつ。

  • 2018/12/17 図書
    歌舞伎 / 渡辺保著
      

    江戸時代を代表する演劇のひとつ、歌舞伎

    推薦者:葛綿正一先生(日本文化学科)江戸時代を代表する演劇は人形浄瑠璃(文楽)と歌舞伎です。近松門左衛門は京都の坂田藤十郎のために歌舞伎の台本を書いていました。歌舞伎の三大傑作とされる『菅原伝授手習鑑』『仮名手本忠臣蔵』『義経千本桜』はいずれも浄瑠璃の原作を歌舞伎に取り込んだものです。文化・文政の時期に活躍した鶴屋南北、幕末から明治に活躍した河竹黙阿弥は偉大な歌舞伎作者です。関連授業:日本文化論I関連本:鶴屋南北『東海道四谷怪談』(新潮古典集成)、河竹黙阿弥『三人吉三廓初買』(新潮古典集成)、扇田昭彦『日本の現代演劇』(岩波新書)

  • 2018/12/17 図書
    Tugumi (つぐみ) / 吉本ばなな著
      

    まぶしくいとおしい

    推薦者:黒澤亜里子先生(日本文化学科)生まれつき病弱なため、甘やかされてわがままに育った18 歳のつぐみ。しかし、つぐみには不思議な魅力があった。そんなつぐみに心引かれる従姉妹のまりあは、夏の休暇を一緒に過ごすためにふるさと西伊豆へ渡る。その夏、つぐみは恭一という少年と巡り合うが、地元の不良が恭一を傷つけ、つぐみの愛犬を殺すという事件がおこる。つぐみは、不良達に復讐するため、大切なもののために、全ての力を振り絞って大きな落とし穴を掘るが、力尽きて倒れてしまう。少女が大人へと脱皮する瞬間の輝きを、季節の移ろいともに描いた物語。【コメント】細胞が毎日生まれ変わっているような成長期の少女のゴージャスな強さと弱さが、まぶしくいとおしい(オジサンみたいな感想でスミマセン)。英語、イタリア語、中国語、韓国語etc. 世界中の多くの言語に翻訳され、愛されています。つい先日も韓流ドラマの中でカップルが吉本ばなな「白河夜船」について話すシーンを発見。学生たちの中にも根強いファンがいて、卒論のテーマに選ぶ人も多い。

  • 2018/12/17 図書
    「国語」と「方言」のあいだ : 言語構築の政治学 / 安田敏朗著
      

    不要とされた時代もありながら、現代では守るべき対象となった。その意味するところは。

    推薦者:下地賀代子先生(日本文化学科)言語としての「方言」そのものについてではなく、「日本」という国の歴史的変遷の中で、「方言」がどのように捉えられ、語られてきたかを論じている本です。「方言」は、近代化による国家設立の過程から、帝国期、戦後、そして現代の国際化という、社会的に大きな変化の生じた時期に、注目され、その当時の社会的状況を背景にさまざまに語られています。単なる「標準語」選定のための参考資料だったものが、恥ずべき矯正の対象となり、不要とされ、そして時代を経て今、守るべき価値あるものとなっている。その意味するところとは?ちょっと分厚いです。近現代史の知識もちょっと( ?) 必要です。それでも頑張って読むに値する本だと思います。国語の先生、日本語の先生になりたい人に特にお勧めです。

  • 2018/12/17 図書
    百代の過客 : 日記にみる日本人 / ドナルド・キーン [著] ; 金関寿夫訳
      

    日本人にとって日記は何なのか

    推薦者:奥山貴之先生(日本文化学科)アメリカ出身の日本文学者・日本学者が、「日記」を軸に、日本文化・日本文学について考察していきます。長年にわたり古典から現代にわたる日本文学の研究を続けてきた筆者が、日本文学の総体について一つの結論を得ています。日本文学の一つの流れを見られるということでも面白さがありますし、「外からの視点」で研究された日本がどう分析されているのかということでも面白さがあります。「日本人にとって日記は何なのか」と言う問いは、「他の国の人にとって日記は何なのか」という比較文化的な問いにも繋がっていくものです。

  • 2018/12/17 図書
    新文学入門 : T・イーグルトン『文学とは何か』を読む / 大橋洋一著
      

    批評とはどういうことか

    推薦者:田場裕規先生(日本文化学科)前に挙げたテリー・イーグルトン『文学とは何か』の訳者が、内容をかみ砕き、日本語の感覚に引き付けながら詳しく解説している一書。語り口が面白いので、どんどん読み進む。批評とはどういうことかを、しっかり学ぶためにも日本文化学科の必読書としたい。関連図書:『文学とは何か : 現代批評理論への招待』

  • 2018/12/17 図書
    文学とは何か : 現代批評理論への招待 / T. イーグルトン著 ; 大橋洋一訳
      

    難しいことから逃げることなかれ

    推薦者:田場裕規先生(日本文化学科)料理をするためには、道具を使いこなさなくてはならない。文学や文化学を志すなら、批評するために道具(理論)をしっかり身に付けなければならない。多少難しいと感じても、頑張って読んでほしい一書。難しければ、『新文学入門』を読んだあとに読むのもよい。難しいことから逃げることなかれ!関連図書:『新文学入門 : T・イーグルトン『文学とは何か』を読む』

  • 2018/12/17 図書
    国語教科書の中の「日本」 / 石原千秋著
      

    国語の教科書に隠されたメッセージを解く

    推薦者:桃原千英子先生(日本文化学科)国語科教科書の定番教材をもとに、テクスト分析し、そこに隠されたメッセージを読み解いたものである。学校の授業では、教師の意図とは別のところで、隠されたメッセージを学習者に与えることがある。そして、そのメタメッセージが、人間形成に影響を及ぼしてしまうことがある。〈日本〉という枠組みを軸に教科書をテクストとして読んだ時、教室では言葉にはならない何かを教えてはいないかという、問題提起の書である。関連授業:国語科教育法

  • 2018/12/14 図書
    ルポ貧困大国アメリカ / 堤未果著
      

    司書希望者、教員希望者は必読

    推薦者:山口真也先生(日本文化学科)盲腸の手術をしただけで破産する、軍のリクルーターが高校に出入する、大学生の多くがカードローンに苦しめられている、私たちが知っているようで知らないアメリカの「闇」がここにあります。本書では、主に医療サービス、学校教育が民営化されていく問題が取り上げられていますが、公共サービスが民営化されていく恐怖は日本にも共通です。日本では図書館サービスの民営化が進んでいて大きな問題になっています。司書、教員になりたい人は必読です。続編の『ルポ貧困大国アメリカII』と『(株)貧困大国アメリカ』もあわせてぜひ読んでください。関連授業:図書館概論・図書館サービス概論

  • 2018/12/14 図書
    こころ / 夏目漱石作
      

    高校生の時に読んだ時とは違う発見が

    推薦者:村上陽子先生(日本文化学科)高校の国語で取り上げられることも多い『こころ』。しかし教科書に載っているのはごく一部。全体を通して読むと、また新たな発見があるはずです。学生の「私」がある夏の日に鎌倉の海岸で「先生」に出会い、「先生」の家に親しく出入りするようになるというところから『こころ』は始まります。「先生」は仕事もせずに、美しい奥さんと二人で静かに暮らしています。大学卒業後の暮らしにはっきりとした展望が持てない「私」はそんな「先生」に憧れますが、「先生」は若い頃の自分の所業を深く後悔していて……。ここから先は実際に読んでみてください。そして教室で議論しましょう。多様な読み方ができるのが『こころ』の最大の魅力なのです。関連授業:現代文学理論 I

  • 2018/12/14 図書
    古琉球 / 伊波普猷著 ; 外間守善校訂
      

    ウチナーンチュとは何か

    推薦者:西岡敏先生(日本文化学科)ウチナーンチュ(沖縄人)とは何か。その答えを見出そうと、おのれの人生をあがいたのが、沖縄学の父と呼ばれる伊波普猷(1876-1947)である。琉球処分後、日本の国家に組み込まれた沖縄県のなかで、沖縄固有の文化は劣ったもの、改善すべきものとして内外からの排撃を受ける。旧制中学校時代、伊波は沖縄人を差別する校長に反発して、ストライキ事件を起こし、それがもとで退学させられてしまう。沖縄人としてのアイデンティティーに悩んだ伊波は、上京したのち、言語学を修め、それと同時に、歴史・民俗・書誌などのさまざまな分野から、おのれの、そして、沖縄の生きるべき道を見出すべく、沖縄固有の文化を掘り下げてゆく。その伊波の記念すべき処女作といえるのが本書『古琉球』である。その自序は、伊波を「沖縄学」へと向かわせる契機となった中学校時代の恩師、田島利三郎(1869-1931)への感謝の気持ちで満ち溢れている。

  • 2018/12/14 図書
    南島の抒情 : 琉歌 / 外間守善著
      

    琉歌鑑賞にこの1冊

    推薦:狩俣恵一先生(日本文化学科)琉歌は王や貴族、農村や遊隔の女性にまで幅広く親しまれてきました。数多くの歌の中から代表作を選び、鑑賞のポイントと成立の背景を紹介した1 冊です。

  • 2018/12/14 図書
    絵巻を読み解く / 若杉準治執筆
      

    漫画・アニメーションの元祖

    推薦者:葛綿正一先生(日本文化学科)絵巻の魅力は何でしょうか。絵巻はストーリーの面白さ、歴史資料としての面白さ、絵画表現としての面白さなど様々な魅力を有しています。日本画の源泉であり、漫画やアニメーションの元祖とも呼ばれています。関連授業:日本文化論I関連本:『日本の絵巻』(中央公論社)、『日本絵巻全集』(角川書店)、辻惟雄『奇想の系譜』(ちくま学芸文庫)、四方田犬彦『漫画原論』(ちくま学芸文庫)、中条省平『マンガの教養』『マンガの論点』(幻冬舎新書)

  • 2018/12/14 図書
    芽むしり仔撃ち / 大江健三郎著
      

    「できそこないは、ひねりつぶす」・・・そこからの自由

    推薦者:黒澤亜里子先生(日本文化学科)太平洋戦争の末期、感化院の十五名の少年たちが、集団疎開先の山奥の部落にたどり着く。だが、村に疫病が広がり始めると、村人は少年たちを見捨てて逃げてしまう。外部に通じるただ一つの抜け道を閉鎖され、少年たちは、「檻の中の獣」のように完全に孤立する。しかし、そこは少年たちが初めて手に入れた逆説的な「ユートピア」だった。「芽むしり仔撃ち」という題名は、村長の「お前のような奴は、子供の時分に締めころしたほうがいいんだ。できぞこないは小さいときにひねりつぶす。俺たちは百姓だ、悪い芽は初めにむしりとってしまう」という言葉に由来する。こうした大人たちの「悪意」と「習俗の壁」に包囲されながら、少年たちは力を合わせて自分たちの「自由の王国」を建設しようとする。大江健三郎はこの作品について、「この小説はぼくにとっていちばん幸福な作品だったと思う。ぼくは自分の少年期の記憶を、辛いのから甘美なものまで、率直なかたちでこの小説のイメージ群のなかへ解放することができた。それは快楽的でさえあった」と述べている。【コメント】大学時代、この作品を読んでいないと「モグリ」(大学生ではない)とまで言われたものです。ちなみに私は大江の「洪水はわが魂に及び」で期末レポートを書きました。この話にはちょっとした裏話があるのですが、省略。

  • 2018/12/14 図書
    沖縄の方言 / 井上史雄, 吉岡泰夫監修
      

    実は、西岡敏先生も・・・!

    推薦者:下地賀代子先生(日本文化学科)奄美、沖縄、宮古、八重山各地の日常会話の中でよく使われている方言が「暮らしのことば」として紹介されています。各地のユニークなことば、若い世代で使われる新しい方言、形は同じなのに地域で意味が違っていることばなど、さまざまな視点から「方言」の現在が学べます。小学生、中学生ぐらいを対象としていて、易しい文章で書かれていて読みやすいのに、内容はけっこう専門的。琉球方言のことを全然知らないんだけどちょっと勉強してみたいという人にぴったりの入門書です。(実は、日本文化学科の西岡敏先生も執筆者のお一人なんですよ!) 

  • 2018/12/14 図書
    「昔はよかった」と言うけれど : 戦前のマナー・モラルから考える / 大倉幸宏著
      

    「昔はよかった」をデータをもとに考える

    推薦者:奥山貴之先生(日本文化学科)若い人は、何かと言えば「近頃の若い者は…」と言われがちではないでしょうか。「昔はよかった」もワンセットかもしれません。でも、本当にそれは妥当なことでしょうか。一般論や思い込みに囚われず、データをもとに考えてみようというのが本書の目的です。もちろん、今のいい部分はいい、よくない部分はよくない。昔にもそれは当てはまります。先入観にとらわれずエビデンス(証拠)を基に考える、様々なことを相対化して捉える、そんなことの大切さをこの本は伝えてくれます。そこから、現在起きている問題について考えるヒントも得られるはずです。

  • 2018/12/14 図書
    万葉の旅 / 犬養孝著
      

    万葉人の詩情を解き明かす

    推薦者:田場裕規先生(日本文化学科)万葉の故地と風土を守るために尽力した著者の不朽の名作。日本各地の万葉の故地を訪ね歩き、その土地の風土と密着した万葉人の詩情を豊富な写真資料や地名解説で解き明かす一書。日本最古の歌集に出てくる故地を巡るための必携である。

  • 2018/12/14 図書
    奇跡の教室 : エチ先生と『銀の匙』の子どもたち : 伝説の灘校国語教師・橋本武の流儀 / 伊藤氏貴著
      

    エチ先生の授業は教科書を使わない。

    推薦者:桃原千英子先生(日本文化学科)スロー・リーディングを、学校の授業で実践された、伝説の灘高国語教師と、子どもたちの物語である。エチ先生の授業は教科書を使わない。中勘助の『銀の匙』という作品を、中学3年間を費やして学んでいく。まさに「遅読」「味読」の授業だ。文学作品を追体験する楽しさの中に、「なんとなくわかったでは済まされない」厳しさがある。楽しい授業を求める教職履修生の皆さんにお薦めの一冊である。関連授業:国語科教育法

  • 2018/12/13 図書
    知をひらく : 「図書館の自由」を求めて / 西河内靖泰著
      

    現実でも、「図書館戦争」のようなことが起こっています。

    推薦者:山口真也先生(日本文化学科)作者は公共図書館に長く勤務してきたベテラン司書。ライフワークとして取り組んできた「図書館の自由」をめぐる問題を紹介するとともに、図書館のあるべき姿を提案。取り上げている事例は「船橋市西図書館蔵書廃棄事件」「クロワッサン問題」「原爆と差別事件」「国立国会図書館データ押収事件」「ホームレス問題」などなど。最近の原発問題についても、図書館が何を問われているか、図書館はこれまで反原発資料を集めてこなかったのではないか、という視点から作者独自の問題提起がなされています。入学前課題で『図書館戦争』を読んだ人にはぜひ目を通してほしい1 冊です。現実の図書館でも、「図書館戦争」のようなことが起こっています。司書として、住民の「知る自由」を保障することの大切さと難しさについて深く考えることができます。関連授業:図書館概論・図書館情報資源概論

  • 2018/12/13 図書
    水滴 / 目取真俊著
      

    戦後世代の作者が、戦争体験者の記憶に真正面から取り組む

    推薦者:村上陽子先生(日本文化学科)今帰仁村出身の小説家・目取真俊は「水滴」で1997 年の芥川賞を受賞しました。戦後世代の目取真が、戦争体験者の記憶に正面から取り組んだ小説が「水滴」です。沖縄戦から50 年以上経ったある日、徳正という老人の足が突如としてふくれあがり、親指の先から水が滴り落ちはじめます。床についたまま身動きできない徳正の前に、沖縄戦で死んだ兵隊たちが毎夜姿をあらわし、その水を飲むのです。徳正は逃げ続けていた戦争の記憶と向き合うことになります。文庫版は残念ながら絶版ですが、古本では比較的容易に手に入れることができます。また、この著者の他の作品にも興味があるという人は『目取真俊短篇小説選集』を手に取ることをおすすめします。

  • 2018/12/13 図書
    新南島風土記 / 新川明著
      

    受け継いでゆくべき島人(シマンチュ)の精神

    推薦者:西岡敏先生(日本文化学科)当時、沖縄タイムスの記者だった新川明が、八重山支局に勤務していた時代に綴った鮮烈な八重山地方の紀行レポート。1960 年代、日本は高度成長期を迎え、沖縄では米軍統治が続いていた。そのなかで、沖縄でももっとも果ての地域と言われた八重山において、新川は、人間が生きるとはどういうことなのか、その原点を発見する。圧制に苦しんできた島の人々が織り成す歌や民俗芸能の数々。ややもすると、那覇や首里を中心に描かれがちな沖縄文化に対して、それぞれの地域に根づくシマ固有の文化に新川は惹かれてゆく。その体験を経たあと、新川は反復帰論という思想を生み出していくのである。この本には、受け継いでゆくべき島人(シマンチュ)の精神が語られているといえるだろう。

  • 2018/12/13 図書
    沖縄文化論 : 忘れられた日本 / 岡本太郎著
      

    古代日本の息吹き

    推薦者:狩俣恵一先生(日本文化学科)苛酷な歴史の波に翻弄されながらも、現代のわれわれが見失った古代日本の息吹きを今日まで脈々と伝える沖縄社会。画家の眼と詩人の直感で沖縄社会の特性を見事に把えた、毎日出版文化賞受賞の名著です。関連授業:琉球文化論

  • 2018/12/13 図書
    古事記の世界 / 西郷信綱著
      

    魅力に満ちています

    推薦者:葛綿正一先生(日本文化学科)イザナキとイザナミの結婚、国生み、火の神の出産によるイザナミの死、冥界のイザナミを訪問するイザナキ、三貴神(アマテラス、ツクヨミ、スサノヲ)の誕生、スサノヲの乱暴狼藉、アマテラスの岩戸籠もり、食物神の殺害、スサノヲの追放、ヲロチ退治、大国主の国譲り、天孫の降臨、山の神の娘との結婚、海の神の娘との結婚など『古事記』は魅力的な挿話に満ちています。関連授業:古典に親しむ関連本:西郷信綱『古代人と夢』(平凡社)『古事記注釈』(ちくま学芸文庫)、中村啓信『古事記』『風土記』(角川文庫)、石田英一郎『桃太郎の母』(講談社学術文庫)

  • 2018/12/13 図書
    十九歳の地図 / 中上健次著
      

    「闇」をのぞき込む瞬間を

    推薦者:黒澤亜里子先生(日本文化学科)「ぼく」は十九歳の予備校生、あるいは「新聞配達少年」。「ぼく」には希望がなかった。「ぼく」は「三十男はきたならしい」「自分で自分を殺すなら二十五歳までだな」と考えている。「なにもかもめちゃくちゃにしてやる」と東京駅に爆破予告の電話をする少年は、「あなたは何者だ」という問いに対して、「俺は何者でもない、何者かになろうとしているのだ」と答える。若く、貧乏で、徹底して無名であること、何者でもないこと、暴力だけが「愛」であるかのような、十九歳の少年の孤独な情熱を描いた中上健次の第一創作集。 【コメント】怖いけれども読まずにいられない。自分の中の「闇」をのぞき込む瞬間を体験してみてください。

  • 2018/12/13 図書
    うちなあぐちへの招待 / 野原三義著
      

    この1冊で!

    推薦者:下地賀代子先生(日本文化学科)2004年3月に日本文化学科(当時は国語国文学科) を退職された、野原三義先生の著作集です。1970年代から2000年代にかけて書かれた原稿の中で、「読みやすそうなもの」が選ばれています。「うちなあぐち入門」を始め、「沖縄と奄美の方言」「宜野湾方言」など沖縄本島の方言についての論文の他、日本文化学科の講義で行った調査を元に、若者言葉について記した論考も含まれています。この1冊を読むだけで、沖縄方言の基礎知識はばっちり身についちゃうでしょう!また、なんだか難しそうな、手に取るのがためらわれてしまうような大著の内容を紹介しているページもあって(「うちなあぐちの本」)、もっと深く勉強したいというときの参考になります。

  • 2018/12/13 図書
    ミライの授業 / 瀧本哲史著
      

    あなたの「ミライ」に、そして次世代の「ミライ」に

    推薦者:奥山貴之先生(日本文化学科)予測が難しい「ミライ」に備えるために、何ができるのか。そうしたことを考えていく本書は、大学生よりは少し若い人を対象に書かれたものですが、大学生が読んでも、さらに上の世代の人が読んでも意味のあるものです。「なぜ学ぶのか」という問いに一定の答えを持つ人も、あまり持たない人も、その問いに対する一つの考え方を知ることができます。もちろん、「一つの考え方」という保留は必要です。そこから自分なりに「ミライ」に向けて、どう学び、どう生きていくのかを考えてみてください。そして、自分より下の世代の人たち(「ミライ」の人たち)に何かを伝えられる人になって欲しいと思います。

  • 2018/12/13 図書
    萬葉のいのち / 伊藤博著
      

    「萬葉のいのち」とは

    推薦者:田場裕規先生(日本文化学科)万葉集研究に生涯をささげた著者が、新聞や雑誌等に発表した研究書的な側面も持たせながら、万葉の心、気風、「家」と「旅」、古代人の死生観をつづるエッセイ集である。楽しみながら万葉集に触れさせてくれると思う。

  • 2018/12/12 図書
    読む心・書く心 : 文章の心理学入門 / 秋田喜代美著
      

    「読み方上手」「書き方上手」を目指して

    推薦者:桃原千英子先生(日本文化学科)あなたはこれまで、どんなことを感じ、考えながら、文章を読んできただろうか。読んだ時に感じる心の動きに、目を向けたことはあっただろうか?文章を書く時はどうだっただろう。本書は、「読む時、書く時に皆さんの心の中で何が起こっているのかをわかってもらうために書かれている」と、筆者は紹介する。中高生向けの心理学の本で読みやすいが、内容の充実度は高い。「読むこと」と「書くこと」のしくみを理解し、「読み方上手」「書き方上手」を目指してほしい。関連授業:リテラシー入門、アカデミック・ライティング、国語科教育法

  • 2018/11/12 図書
    鞄に本だけつめこんで / 群ようこ著
      

    私小説風読書エッセイです

    作家でエッセイストの群ようこさんの初期の読書エッセイ。紹介されているのは学生の皆さんはなかなか手に取らないような渋い小説ばかりですが、元の作品を読まなくても、エッセイとして十分楽しめます。本を読むのがますます好きになる一冊です。

  • 2018/11/12 図書
    わかったつもり : 読解力がつかない本当の原因 / 西林克彦著
      

    言語学の奥深さを体験できます!

    小学生の国語教材を大学生が読んでみると、間違った読み、不十分な読みが続出した、という衝撃的な事実から始まる本書。語彙力はあっても、文脈が分からなければ人は文章を読むことはできません。読解とはなにか?、ということがとても分かりやすく解説されている一冊です。大学生の基本は「読書」です。本を読んで「わかったつもり」になることはとても怖いことです。この本を読んで、自分の読解力は十分かどうか、チェックしてみてください。

  • 2018/11/12 図書
    R帝国 / 中村文則著
      

    『教団X』の次はこちら

    『教団X』が面白かった人はぜひこちらも読んでみてください。主人公が自分が暮らしているR帝国が隣国と戦争を始めたことをニュースで知るところから物語がスタート。国家と個人の関係について、ネット社会の怖さを交えたディストピア小説。完全なフィクションのはずですが、読み進めるごとにどんどん背筋が寒くなる、不思議な一冊です。

  • 2018/11/12 図書
    黄色い本 : ジャック・チボーという名の友人 / 高野文子著
      

    葛綿先生が泣きました

    読書好きな少女が大人になっていく様子を『チボー家の人々』を題材にして描いた表題作は本当に素晴らしいです。人はなぜ本を読むのか、大人になるとはどんなことなのか、生きることの素晴らしさが見事に表現されている名作マンガです。高野文子はすごい!

  • 2015/10/02 図書
    つながる図書館 : コミュニティの核をめざす試み / 猪谷千香著
      

    スタバ図書館はよい図書館?

    図書館は本を借りるための場所、というイメージを持っている人が多いかもしれませんが、実は「まちづくりの中心」としての役割も期待されるようになっています。テレビのニュースではおしゃれなコーヒーショップを併設する図書館が取り上げられることもありますが、「おしゃれな図書館」「デートスポット図書館」は市民の税金で運営されるべきものなのでしょうか。「課題解決」「ビジネス支援」「まちじゅう図書館」など、いまの図書館のダイナミックな変化がいっぱいつまった一冊。司書を目指す学生の必読書です。

  • 2015/10/02 図書
    華氏451度 / レイ・ブラッドベリ著 ; 伊藤典夫訳
      

    『図書館戦争』の次に読んでみましょう

     AO・推薦入試合格者への入学前課題として多くの人が手に取った一冊『図書館戦争』で描かれた、本が奪われる世界、言論が規制される世界をさらに別の視点から描いた、アメリカの国民文学とも言われるSF小説です。 タイトルにもなっている「華氏451度」とは、書物の紙が引火する温度です。主人公の仕事は「451」と書かれたヘルメットをかぶり、昇火器の炎で書物を焼き尽くすこと。しかし、ある日、風変わりな少女との出会いをきっかけに、彼の人生は大きく変わり始めます。 焚書(本を燃やすこと)の歴史は日本も無関係ではありません。ユネスコの調べによると、旧日本軍も第二次大戦中に、北京の大学図書館で20万冊の本を焼いたと伝えられています。本を燃やす世界はもうすぐそこまで来ているのかもしれません。いろいろなことを想像しながら読んでほしい一冊です。関連授業:図書館概論

  • 2015/10/02 図書
    人はいかに学ぶか : 日常的認知の世界 / 稲垣佳世子, 波多野誼余夫著
      

    発達心理学、認知科学の研究者からの、学校変革への提言書

     発達心理学、認知科学の研究者からの、学校変革への提言書である。 学習観の転換により、人の学びの捉え方が大きく変わってきた。 本書は、解説にも記されているように、「伝統的学習観による「人間怠け者」説をくつがえし、「みずから学ぶ存在」としての人を実証的に描き出して」いる。データや図に基づく検証は大学生にとっても理解しやすい内容となっている。 関連授業:国語科教育法

  • 2014/09/25 図書
    ボクの彼氏はどこにいる? / 石川大我 [著]
      

    セクシュアルマイノリティとプライバシーと図書館について考えるために

    図書館の利用について書いた部分もあって、司書課程の学生さんに読んでほしい一冊です。(テスト)

  • 2014/09/25 図書
    夜明けの図書館 / 埜納タオ著
      

    司書の役割がよくわかります

    司書がどのような仕事をするのか、司書として働くということはどういうことか、レファレンスサービスを中心にわかりやすく知ることができるマンガです。司書課程の学生さんたちにぜひ読んでほしい1冊です。3巻目まで出てます。(テスト)